Last Updated on 2025年11月17日
明日(11月11日)は学校がお休みです。私といえばのんきにさて明日はどこに行こうか考えている間、フランスのARTEという番組でヴィクトル・ユゴーの名作『レ・ミゼラブル』の映画が始まりました。
この背後には単なる古典愛だけではない、フランス社会が大切にしている「記憶(Mémoire)と連帯(Solidarité)」への思いが感じられます。
11月11日は「休戦記念日」
そもそも明日お休みなのは、1918年11月11日、第一次世界大戦の休戦協定が結ばれたことに因みます。
この日、フランスではArmistice de 1918として、全国の戦没者慰霊碑で追悼式が行われます。そこでは単に過去の悲劇を思い出すだけでなく、戦争で命を落とした人々への祈りと平和への誓いを新たにするようです。
『レ・ミゼラブル』は19世紀の王政復古の時代を描いたもので、世界大戦よりもだいぶ前の話です。しかしユゴーのメッセージは主人公が体現する「赦し」や「人間の尊厳」という時代を超えて心に響く普遍的なものであり、それゆえにこの休みの前日に放映されているのかもしれません。
11月11日は「連帯の日」でもある
そしてこの「人間の尊厳」という価値観を別の形で映し出しているのが「連帯の日(Journée de solidarité)」という制度に思います。
というのもフランスの企業に勤めている友人によると、明日はsans payé(無給)で働くとのこと。
これは2003年の猛暑で多くの高齢者が犠牲になった悲しい出来事をきっかけに創設された制度で、企業の従業員が年間で1日たけ無給で働き、その賃金に相当する金額が企業を通して介護などの支援のための負担金として国に納められる制度です。
この「連帯の日」は、休戦記念日に限らず別の日に割り当てられることもあるようですが、友人の話を聞き、休戦記念日が「過去」の戦没者を偲び、平和を願う日であれば、連帯の日は「今」を生きる人々、特に弱い立場の人を支え合う日と重なるように思いました。
芸術と社会、そして人間の魂が交わるフランスらしさ
ARTEで放映される『レ・ミゼラブル』は、まさに記憶(Mémoire)と連帯(Solidarité)のふたつの精神を深く象徴している作品であり、フランスという国が歴史から目を背けず、弱い立場にある人間に寄り添おうとする人間愛に根ざす価値観を教えてくれているものと個人的に受け取り、ひとり静かに感動しています。
こうしてまた勝手にフランスのことが好きになりましたが、こういうことはただこちらに身を置いていて分かるわけではなく、日頃から新聞を読んだり、テレビを見たり、現地の人たちの話に耳を傾けてみないとなかなか見えてこないものです。
