【留学通信】データ分析という名の物がたり

Last Updated on 2025年12月21日

期末試験が終わり、ようやく息がつけました

データ分析の授業の期末試験を終え、今学期のすべての授業と試験が終了しました。明日からは本格的に冬休みに入りますが、肩の凝りはそのまま、頭の中からエクセルの関数や統計用語、式がものすごい勢いで抜け落ちていく気がします。

このコースは私にとって、今学期のラスボスのような存在でした。データを使ってより良い意思決定を行うための思考法を身につけることが目的で、記述統計や回帰分析の考え方を駆使してデータで筋道だったストーリーを語る力が問われます。期末試験は、与えられたデータセットをエクセルで分析し、その結果を紙にまとめて答える形式でした。AIツールの使用はもちろん禁止で、頼れるのは片面だけの手書きチートシートと自分の理解力だけ。

ただでさえ難しい統計学を英語で、限られた時間の中で理解しようとするのは私には無謀でした。それでも何とか授業に食らいつき、グループ課題をこなし、そして今日、少しボロボロになりながらも試験を終えてきました。

授業についていくことと、課題に直面することの難しさ

授業の最初に「データ分析」と耳にしたとき、私の中に立ち上がったイメージは、小難しくて冷たい世界でした。数字の羅列、見慣れない関数、エクセルの細かい操作。経営に役立つ重要な科目だと頭では分かっていても、気持ちはどうしても構えてしまいます。

データ分析の授業では、まず記述統計から始まりました。平均値や中央値、標準偏差、分布や相関。高校の数学ⅡBの記憶を、かすかに手繰り寄せながら授業スライドを追いかけます。さらにデータの質の分類(質的なものか量的なものか)から、z値やt分布、カイ二乗検定、仮説検定など、データから結論を導くための推論の手法など、聞き慣れない言葉が英語で次々と飛んできます。授業内容を理解するだけで、毎回かなりのエネルギーを消耗しました。

そこに重なるように、グループ課題がやってきます。ある企業を想定した商品価格の設定や需要予測、あるいは離職率の分析など、現実に近いケースについて、チームで「最適な答え」を探さなければなりません。統計の知識をただ覚えるだけではなく、それを使ってビジネス上の問いに答えることが求められます。

最初は、ただひたすら置いて行かれないようにすることと、無意味な意地からくる「分かっているいるふり」をすることで精一杯でした。とても辛かったです。スライド資料は印刷し、教授が「データを見る前に、定義と出所、測定方法を必ず確認して」といったアドバイスを書き留め、試験前まで何度もスライドを見返しました。また、試験直前の数日間は、教授が推薦したLinkedIn のオンライン動画を見ながらエクセルの操作を追いかける夜が続きました。

金髪のふわふわロングヘアにエルメス風の上質なスカーフをさらりとまとう美人教授は、そんな地道な作業の先にある世界を、少し違う言葉で語ります。

Data analysis is an art.(データ分析はアートよ)

世の中に溢れるデータでストーリーテリングができるようになること、それがこの授業のゴールなのだと。まだその境地には程遠いと感じつつも、その言葉だけはなぜか心に残りました。

解にたどり着いた喜びと、小さな自信

私にとって忘れられないのはグループ課題のひとつです。

ダイヤモンドの価格戦略を、与えられたデータにもとづいて提案するという課題でした。過去の販売実績をグラフにしてみると、ところどころに妙な規則性のようなものが現れます。しかし、その理由がどうしても分かりません。カラット数や色、ダイヤモンドの形など、さまざまな情報が詰まったエクセルファイルを前に、「これまで習ってきた内容を本当に理解できているのだろうか」と不安になりました。授業では必死に学んでいるつもりなのに、いざ生のデータを前にすると論理的な考えができなくなり、中途半端な表やグラフばかりが増えていきます。そんな自分に、心底途方に暮れました。

それでも手を動かし、試行錯誤を重ねるうちに自分なりの仮説らしきものが少しずつ形になってきました。何度も見返して授業内容と照らし合わせてみても、自分の中では筋の通った説明になっているように思えます。思い切ってその考えをチームに共有すると、メンバーも真剣に耳を傾けてくれました。結果的には、私の仮説はいくつか重要なステップが抜けていて、チームとして回答にはなりませんでした。それでも、自分の頭で考えた筋道を言葉にできたこと、そしてそのプロセスを尊重してもらえたことで、この4カ月で根こそぎ引き抜かれたはずの自尊心が息を吹き返したような気がします。

こんな状態なので、期末試験の手応えも決して良いとは言えません。前日の夜、見直しが終わらず、気づけば夜中の2時近くまで問題と向き合っていました。そのせいで試験当日の朝は肩が凝り固まり、頭もぼんやりとしたまま会場に向かうことになりました。試験問題は全部で5ページありましたが、きちんと解ききれたと言えるのは最初の3ページまで。残りの2ページは、時間切れと理解不足の両方が重なり、ほとんど手をつけられないまま終わってしまいました。

統計の関数や方程式は、きっとあっという間に私の頭から抜け落ちていくでしょう。それでも、データと向き合って自分なりの解を導き出し、チームメンバーに認めてもらえたという小さな成功体験は、確かに私の中に残っています。難解で冷たく見えていたデータの世界に、ほんの少しだけ知的な楽しみのようなものを感じられるようになったこと。大したことのないことだと思いますが、これがこの科目で得た一番の収穫です。

試験結果が出るのは年明けです。高得点は到底望めませんが、どうか単位だけは取れますようにと祈りつつ、この冬休みを迎えます。

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