【フランス生活】南仏でカフェオレボウルを巡る旅② ビオット

南仏でカフェオレボウルを巡る旅 続編です。

ビオットはアンティーブ(Antibes)の内陸側、高い丘の上に佇む、鷲巣村といわれる小さな村。石畳の路地にガラス工房やアトリエが点在し、今も昔の景観がほぼそのまま残る、かわいらしい村です。

ヴァロリス(Vallauris)が「土の町」だとしたら、ビオットは「火と光の町」。陶器だけでなく、ガラス工芸でも知られています。

今回の旅の目的はひとつ。小ぶりのカフェオレボウルを見つけることです。On y va !

ビオットが「陶器とガラスの街」と呼ばれる理由

ビオットの陶器といえば、カップや皿といった小物ではなく、存在感のある大きな甕(jarres)です。

ここでは良質な粘土や窯用の石に恵まれたことで、17世紀半ばには約40の窯や工房が稼働し、地中海各地はもちろん、アメリカなど遠方にも輸出されていたといわれています。

一方で、ガラスは比較的新しい産業です。1956年、エンジニアで陶芸家でもあったエロワ・モノ(Éloi Monod)氏がラ・ヴェルリー・ド・ビオット(La Verrerie de Biot)というアトリエを立ち上げ、ビオットのガラス工芸は国際的な評価受けるまでに発展していきました。

土(甕)で名を上げた村に、火(ガラス)が加わる。このふたつの構造が、ビオットの個性を形作っています。

クリスマスマーケット

訪れた日は、ちょうどクリスマスシーズン。
日本では12月26日を境に一気にお正月の雰囲気に切り替わりますが、フランスでは年末までクリスマスの雰囲気を味わえます。

ビオットの旧市街でも冬の祝祭として盛り上がりを見せています。


会場に入ると、通りにはレッドカーペットが敷かれ、多くの建物がクリスマス仕様に飾り付けられていました。

通り沿いには木屋(シャレー)が並び、飲食店以外にも小さなガラス工芸品やオブジェ、アクセサリーのお店が出ていました。

また、ワインボトルをアップサイクルした作品など、ひと癖あるものも。旅先で買い物をするとき、「便利だから」より「発想が好きだから」で選びたくなるものです。

会場の片隅には「サンタへの郵便受け(boîte aux lettres du Père Noël)」も。

子どもが真剣に投函している姿を見ると、こちらもつい笑ってしまいます。村のイベントの温度が、そのまま空気の温度になっていました。

陶器の博物館へ

次に向かったのは、旧市街の中心にある「ビオット歴史と陶器博物館( Musée d’Histoire et de Céramique Biotoises)」です。
この博物館が面白いのは、展示だけでなく建物そのものに村の歴史が刻まれていることです。

博物館の建物はかつて病院として使われ、館内には貯水槽が残っています。

さらに「白衣の悔悛者の旧礼拝堂(ancienne chapelle des pénitents blancs)」の一部がギャラリーとして使われています。

展示は甕の存在感が強く、生活道具や写真資料なども含めて、ビオットの暮らしの輪郭が浮かび上がります。

16~19世紀の甕のコレクションは見ごたえがあり、また、時代とともに素朴な大物から装飾的・実用的な陶器へ展開していった様子が紹介されていました。


ここまで来ると、薄々思います。この村も、カフェオレボウルないのかもしれない、と。

作家のいるガラス工房

旧市街を歩くと、ガラス工房やギャラリーが点在しています。

訪れた工房SEPHANE.V coutureでは、繊細な動物のオブジェが印象的でした。陶器のように量感で魅せるのではなく、ガラスは薄さや光の入り方で語りかけてきます。同じ形でも、光の角度で表情が変わる。気泡の入り方もきっと、美しさの基準があるのでしょう。

ビオットでは土を見に来たつもりが、いつの間にか光を見ている。そんな瞬間に何度も出会いました。

町の教会

最後に訪れたのが、旧市街の中心にあるサント=マリー=マドレーヌ教会(Église Sainte-Marie-Madeleine)です。中に入った瞬間、ヴァロリスで見た教会よりも華やかに感じました。

明るい室内


15世紀に再建されたこの教会には、画家のルイ・ブレア(Louis Bréa)に帰属される祭壇画があり、さらに入口上には1638年のテラコッタ像が置かれていることから、1984年に歴史的記念物に指定されました。

絵の前にクリシェが飾られていました

祈りの場であると同時に、時と美術が積み重なった場所に感じました。

そして今回も、カフェオレボウルは見つからない

クリスマスマーケットの夜の華やぎを待つべく、旧市街を数周してあらゆるお店やギャラリーに足を運んでみましたが、ボウル自体をあまり見かけなく感じました。なぜだ!と叫びたくなりましたが、ビオットを歩いていると、理由も少し見えてきます。

ビオットは確かに陶器の町ですが、作られているのは歴史的に甕のような大物です。そしてもうひとつの顔は、戦後に発展したガラス工芸。小物は豊富にありますが、カフェオレボウルとは少し方向が違う。
「存在しない」のではなく、街の得意分野の中心から、私の探し物が少し外れているのだと思います。

空振りが続くほど、次に出会う一個に出会ったときの感動きっと大きいと思い、この村を後にしたのでした。

昼と夜で印象は様変わり

旅のメモ

1)ビオットは「駅=村」ではない
最寄り駅は地中海沿岸にあるGare de Biot(SNCF)ですが、駅から村(Village)まで約4km離れています。

2)村への行き方(ざっくり)
ニース/カンヌ/アンティーブ方面 → TERでGare de Biotへ
ニース空港付近からアンティーブ、カンヌを結ぶバス(Lignes d’Azur) 620番線もビオット駅前に停車
Gare de Biot駅から村へはバス(Envibus)10番線もしくはタクシー、ライドシェアがおすすめです。

3)歩き方のコツ
村は坂が多く、道は石畳なので、歩きやすい靴が安心です。

「【フランス生活】南仏でカフェオレボウルを巡る旅② ビオット」への3件のフィードバック

  1. カフェオレボウルをめぐる旅はまだまだ続きそうで楽しみです!フランスの方は、カフェオレを飲む時はやはり今でもカフェオレボウルで飲むことが多いのでしょうか。それとも日本のような外国と同じでコーヒーカップで飲むことも増えているのでしょうか。興味があります。

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    • Ayako さん、コメントをありがとうございます。フランスの友人に聞いてみると、たっぷりのカフェオレを飲む習慣自体が減り、ボウルも日常的には使われていないようです。とはいえ旅はまだまだ続きますので、ぜひお楽しみに ^^

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      • 有難うございます。そもそもたっぷりのカフェオレを飲む習慣自体が減っているのですね!どこのお国も変わっていきますね。

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