【フランス生活】夜行列車に乗ってみた

Last Updated on 2026年1月4日

12月中旬、ニースとパリ間の移動で、初めてフランスの夜行列車(Train de nuit)を利用しました。
今回は、実際の利用体験と、フランスにおける最近の夜行列車事情についてまとめます。

【行き】ニース → パリ(1等車)

出発日、出発時刻の約5時間前に、予約していた夜行列車がキャンセルになったというメールが届きました。

理由は、ニース駅構内での車両配置の都合により、出発地がニースからマルセイユに変更されたためとのことでした。どうしても翌朝早くパリに到着する必要があり、またその日は午後に授業がなかったため、キャンセルはせず、通常の列車でマルセイユまで移動し、夜行列車に合流することにしました。

マルセイユ駅での待機

ニースからマルセイユ駅に到着したのは18時台。夜行列車の出発は21時30分頃でしたが、案内板には私が乗る予定の列車の情報だけが表示されていませんでした。不安を感じつつも時間はあったため、近くのスーパーで食料を調達し、駅で待機することにしました。

最初は暖房が入り、電源とテーブルのある待合室でパソコンを開いていました。この場所でしばらく待っていようと思っていたのですが、20時になると待合室は閉鎖され、駅のスタッフに促されて移動することに。別の待機エリアも長くは使えず、最終的に残されたのは、暖房の効いていない駅構内でした。寒く薄暗い空間でベンチに座っていると何度も物乞いをされました。

さらに列車は1時間以上遅延。案内表示板にプラットホームの情報が掲載されたのは、乗車開始のわずか10分前。

1等寝台の様子

行き利用したのは、4人部屋の1等寝台でした。出発地変更の影響のためか乗客は少なく、私の部屋は実質的に貸切状態でした。

室内には2段ベッドが2つあり、入り口は中からカギがかけられるようになっています。ヘッドは上下段とも天井に余裕がある設計となっています。

それぞれのベッドに枕と布団、そして枕元にはライトと電源がひとつずつ。

たためる小物置
ペットボトルのお水とノベルティ
ノベルティの中身

横になり、足を伸ばしてしっかり休むことができました。

フランスで風邪をひいてから常備している薬草ハーブの飴、Ricola。室内は乾燥気味だったで、のどを潤すのに便利です。

予定時刻より少し遅れたものの、無事にパリに到着した。パリはニースよりも、寒かった…!

【帰り】パリ → ニース(2等車)

帰りは、パリ・オーステルリッツ駅始発、ペルピニャン、モンペリエ、マルセイユ、トゥーロン、カンヌ、アンティーブ等を経てニースに停まる列車でした。

オーステルリッツ駅は改装工事中で、暖房の効いた待合室は非常に混雑していました。テーブル席に着くまで20分ほど立ちつくしました。

ちなみに予約時に選択できたのは2等車の寝台か座席のみだったため、帰りは2等寝台を選択しました。

1等車との違いは、室内には3段ベッドが2つあり、6人相部屋となります。設備やアメニティは1等車と同じです。

中段・下段は特に天井が低く、体を起こすことができません。ベッドから降りる時も横になった状態での移動が少しつらかったです。

この日はほぼ満席だったようで、6人部屋を5人が利用していました。はじめの1時間ほどは人の出入りがあったり、乗客の一人がずっと咳をしていたのでなかなか寝付けませんでしたが、疲れが勝ったためか、いつの間にか眠ってしまいました。

朝食サービス

朝、車内アナウンスでオレンジジュースとクロワッサン提供の案内がありました。無料でもらえると思ってスタッフのいるコンパートメントへ行くと、実際は有料販売でした。

感想:夜行列車は安くて便利だが…

夜行列車は、比較的安価で、寝ているあいだに長距離を移動できる点では非常に魅力的な交通手段です。うまく利用できれば、宿泊費と移動時間の両方を節約できます。

一方で、今回初めて利用してみて、出発地の変更という形で一方的な予約キャンセルを経験し、想定外の事態が起こりうる移動手段でもあると感じました。

翌日に仕事や重要な予定がある場合は、到着時刻に余裕を持った行程を組む方が安心です。これは夜行列車に限った話ではありませんが、フランスの公共交通では遅延や変更が珍しくないため、「時間どおりに着くこと」を前提にすると、いつかきっと辛い目に遭います。

フランスの夜行列車事情

国内の夜行列車

フランス国内では、SNCF(フランス国鉄)が運行する Intercités de nuit が夜行列車を担っています。現在はフランス国内では8路線の夜行列車が運行されており、すべてパリ・オーステルリッツ駅発着です。

主な路線

  • パリ ⇄ ニース
  • パリ ⇄ トゥールーズ
  • パリ ⇄ ブリアンソン
  • パリ ⇄ アルビ
  • パリ ⇄ オーリヤック
  • パリ ⇄ タルブ
  • パリ ⇄ セルベール
  • パリ ⇄ ラトゥール・ド・キャロル

料金の目安

  • リクライニング座席:19ユーロ〜
  • 2等寝台(6人部屋):29ユーロ〜
  • 1等寝台(4人部屋):39ユーロ〜

区画の個室利用も可能で、女性限定コンパートメントを選択することもできます。

国際夜行列車

2016年、SNCFとオーストリア国鉄ÖBBが Nightjet を展開し、パリとウィーン、ベルリンを結ぶ夜行列車が運行していたものの、2025年12月をもって運航休止となりました。

かつてフランスでは、パリを起点に多くの国際夜行列車が運行されていたものの、1990年代以降、高速鉄道TGVや航空路線の拡大により、国際夜行列車は急速に減少しました。

近年、環境意識の高まりを背景に夜行列車が一部路線を再開しましたが、国の補助なしでは採算が取れない状況が続いていたようです。

夜行列車のメリット

環境負荷が比較的低い

EUでよく引用される指標では、

  • 飛行機:1人1kmあたり 約200〜250g CO₂
  • 高速鉄道:1人1kmあたり 約10〜20g CO₂

とされており、夜行列車も鉄道の数値帯に含まれます。ニース〜パリのような長距離約930kmでは、排出量に大きな差が生じる可能性があります。

宿泊費と移動費の節約

かなりざっくりとした数字で実際に移動時期予約のタイミング、等級によりすが、パリ⇔ニースの移動の場合、

  • パリのホテル(シングル):1泊 100ユーロ~
  • LCC航空券:30ユーロ〜
  • 夜行列車の寝台: 29ユーロ

移動の費用を抑えたい場合は一考の価値ありです。

時間の節約

空港は都市部から離れている場合があるので、空港から(まで)の移動負担を減らせる点も利点です。その点、多くの夜行列車は市内中心部の駅に到着するため、時間の節約という観点で選ばれることもあります。

夜行列車が向いている人/向かない人

夜行列車は、独特の利便性と制約を併せ持つ移動手段です。そのため、向き・不向きは分かれます。

向いている人

  • 到着日の朝から動きたい人
    夜のあいだに移動が完了するため、到着後すぐに行動を始めたい人には大きな利点があります。
  • 環境の変化に強く、どこでもある程度眠れる人
    ベッドの広さや周囲の物音などに柔軟に対応できる人ほど、夜行列車の恩恵を受けやすいです。
  • 多少の不確実性を受け入れられる人
    遅延や運行変更といった可能性を前提に、余裕を持って行動できる人には向いています。

向かない人

  • 到着後すぐに仕事や相手のいる予定が詰まっている人
    到着時刻の変動が、そのまま負担につながる可能性があります。
  • 車内の安全面が常に気になる人
    相部屋や共有空間に強い不安を感じる場合、移動中に十分休めないことがあります。
  • 睡眠環境に強いこだわりがある人
    音や揺れ、寝具の違いに敏感な人には、負担が大きく感じられるかもしれません。

夜、寝ているあいだに移動し、朝を目的地で迎える。この体験は夜行列車ならではです。
夜行列車は万人向けではありませんが、自分の移動スタイルや予定と合えば、検討する価値のある選択肢だといえるでしょう。

補足:SNCF(国鉄)での移動が多いならCarte Avantageを

フランス国内電車での長距離移動が多い場合は、Carte Avantageを持っていると便利です。

カードの種類や特典の内容は年齢別に異なりすが、たとえば27歳から59歳まで(Carte Avantage Adute)の場合は年会費49ユーロでTGVやIntercités(夜行列車を含む)が最大30%割引となり、長距離移動を年に数回するだけで元を取ることができます。国内移動の多い方は持っておくとお得だと思います。

12歳から27歳: Carte Avantage Jeune

27歳から59歳まで:Carte Avantage Adute

60歳以上: Carte Avantage Senior

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