Last Updated on 2025年11月8日
10月の秋休みが終わってから、すっかり風邪をひいてしまいました。色が濃く、粘り気のある痰が喉から気管支にかけて絡む感じで、咳が止まりません。就寝前になると発作のように咳き込んでしまう日が1週間以上続いています。父親譲りの我慢強さから?!とりあえずマスクをして耐え、病院に行くのは後回し。その間、留学仲間やフランス人の友人たちから風邪を引いた時に食べるものや飲むものを教えてもらっては試しています。
その中で今回ご紹介したいのが、grog(グロッグ)というフランスの飲み物です。フランスでは冬になると多くの家庭で作られる、いわばおばあちゃんの知恵のような存在のようです。
グロッグとは
グロッグ(grog)はもともと18世紀のイギリス海軍によって生まれた飲み物です。長い航海中、水の代わりに支給されていたラム酒をそのまま飲むと酔いつぶれてしまうため、エドワード・ヴァーノンという提督がラムをお湯で薄めて配給したのが始まりだとか。彼の愛称「Old Grog」にちなみ、grogと呼ばれるようになったそうです。
その後、レモンやはちみつ、スパイスを加えた温かい飲み物として広まり、体を温める作用から風邪の民間療法としてヨーロッパで広く親しまれるようになりました。フランスでも、冬に体調が悪くなった時にグロッグを作る家庭が多く、アルコール入りの大人版から、ラムを抜いた子ども向けのやさしいグロッグまで、家庭ごとに異なるレシピがあるようです。
ラムの代わりにワインもOK

本来のグロッグはラムをベースに作るようですが、今は厳密なレシピはないようです。私は少し工夫をして、鍋にブルゴーニュ産のはちみつ、スライスしたレモン、そしてスライス&チーズおろしですりおろしたしょうがを加え、これまたブルゴーニュ産のピノノワールを注いで温めました。

湯気とともにスパイスとワインの香りが立ちのぼり、体の芯までじんわり温まっていくのを感じました(気管支が弱っているので、香りを吸い込んでむせました)。

グロッグを教えてくれた友人は「子どものころ、風邪をひくと母がアルコールなしのグロッグを作ってくれた」と話していました。
グロッグの材料は風邪対策に◎
グロッグは冬の定番の民間療法として知られていますが、材料は医学的にも一定の根拠があるとされています。
たとえば、はちみつには抗菌作用を持つフラボノイドやポリフェノールが含まれており、のどをうるおし、咳を和らげる効果が期待できます。
また、レモンにはビタミンCが含まれ、免疫機能を支える 防御細胞の働きを助けます。
さらに、しょうがやシナモンなどのスパイスには抗炎症・抗ウイルス作用があり、温かい飲み物として摂ることで鼻や喉の粘液を柔らかくし、呼吸を楽にしてくれるのだとか。
アルコールについては血行をよくする効果があるといわれますが、実際は体の熱を外に逃がす作用もあるため、体の芯の温度(深部体温)は下がってしまうようなので、ほどほどに。
グロッグとホットワインの違い
ワイン好きな方は、ホットワイン(vin chaud)との違いが気になるのではないでしょうか。
どちらも柑橘類とスパイスを入れた温かいワインということで同じ飲み物のようですが、飲む目的と起源が異なるため、あまり同一視されていないようです。
グロッグは先述の通り、18世紀のイギリス海軍で生まれた飲み物です。
保存用のラムにお湯とレモンを加えたのが始まりで、のちに風邪の民間療法として広まりました。つまり、グロッグは体を癒すための一杯です。
一方のホットワイン(vin chaud)は古代ローマ時代に遡る伝統で、冬のお祭りやクリスマスマーケットを象徴する飲み物です。
ワインにオレンジやシナモン、クローブなどのスパイスを加えて温め、家族や友人と分かち合う「冬の楽しみの一杯」のような存在です。
言うなれば、グロッグは薬、ホットワインはご褒美、といった感覚の違いがあるようです。
番外編 中国のクラスメイトから教えてもらった「ホットコーラ」
中国人の友人が教えてくれたのが、コーラと生姜のすりおろしを温めた飲み物です。

風邪を引いた時の飲み物といえばこれ、ということで作ってみました。
コーラは沸騰する前に火を止めるようですが、この時点で炭酸は抜けてしまいます。

しょうがが入っているので、コーラのような、ジンジャーエールのような不思議な味でした。

ちなみにフランスでは、秋になるとスーパーの果物コーナーで海外産のしょうが(gingambre)が手軽な値段で手に入るので、風邪っ引きや冷え性にはとても助かります。
