Last Updated on 2026年1月13日
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パリで受けた、少し変わった授業
パリ滞在中、パリにある学校のキャンパスにて「デザイン思考」をテーマにした授業を受講しました。
この授業は、最終的に「ハッカソン」と呼ばれる実践型の課題に取り組むことを前提に構成されていました。
ハッカソンとはチームを組み、短い期間で与えられたテーマや課題に対して解決案を考え、形にしていく取り組みのことです。
そのため授業でも、理論を網羅的に学ぶことよりも考え方を身につけることが重視されていました。
デザイン思考は「解決策」ではなく「問い」の技術
授業を通して繰り返し強調されていたのは、デザイン思考は「アイデアを生み出すためのテクニックではない」という点です。
多くのビジネスやプロジェクトは、戦略が未熟だったり、技術的に実現できなかったから失敗するのではありません。
実際のところは「本当に必要とされていなかった」ことが意外と多い。
この前提に立ち、デザイン思考では次のような姿勢が大切にされます。
- すぐに解決策を出さない
- そもそも、その問題設定は正しいのかを疑う
- 人の行動や感情、その背景を見る
- 小さく試し、そこから学ぶ
特に印象に残ったのは、課題を「ビジネスの問題」として扱う前に「人の問題」に翻訳し直すという考え方でした。
数字や効率の話に入る前に、誰が、どんな場面で、何に困っているのかを丁寧に見る。
その順番を守ることが、議論の質を大きく左右します。
「本当に求められているか」から考える
授業では、新しい取り組みが成り立つための視点として、三つの条件が示されました。
- それが本当に望まれているか。
- 実現できることなのか。
- 継続できる形になっているか。
多くの場合、人は「実現できるか」「続けられるか」から考え始めてしまいます。
けれど、最も見落とされやすく、かつ失敗につながりやすいのは「本当に必要とされているか」という点です。
デザイン思考では、まず人を理解することから始めます。
机の上で考える前に、現場を見る。仮説を立てる前に、観察する。
この順番を意識すると議論が空回りしにくくなり、考えがぶれにくくなることを実感しました。
「広げて絞る」という思考のリズム
授業では、問題に向き合う際の基本的な流れとして、「一度広げてから、絞る」という考え方が紹介されました。
最初から答えを探しにいくのではなく、いろんな視点で情報を集め、いくつもの可能性を並べ、そこから重要な点に焦点を当てていく。
この「広げる」と「絞る」を意識的に行き来することがデザイン思考の特徴です。
特に短期間で成果を求められる場面ほど、このプロセスをしっかり踏んでいくことが重要だと感じました。
実践の場で見えた「問題定義」の重み
授業の翌日は実践編として、企業が実際に抱えている課題について、ハッカソン形式で取り組みました。
具体的には、提示された課題について、チームを組み、限られた情報と時間の中で提案をまとめ、最終的にチームごとに提案内容を競うというものです。
印象的だったのは、評価されていた提案内容はアイデアの派手さや正確さではなかったことです。
課題をそのまま受け取るのではなく、 誰の、どんな状況で、どんな不便が生じているのかが分解できていること。
そして「どうすれば状況を少し良くできるだろうか」という問いに置き換えていること。
この整理ができたチームほど提案に一貫性があり、評価も高い結果となっていました。
雪の日のパリで学んだこと
授業の中で繰り返し語られていたのは、デザイン思考はデザイナーや専門家のための技術ではない、ということです。
特別な肩書きがなくても使えるし、ビジネス以外の場面にも応用できると思いました。
重要なのは、正解を当てることではなく、試し、失敗し、修正し続けること。
そしてその循環をいかに早く回せるか。
正解を求め続けるのは時にストレスですが、このような考え方で物事にあたれると生きやすくなる気がします(それが許されない場面ももちろんあると思いますが)。
予定通りにいかない出来事が多い雪パリで学んだからこそ、その価値が腑に落ちたのかもしれません。
