【フランス生活】カードを盗まれ、現金も引き出された話

Last Updated on 2025年10月28日

こんにちは、quiyoです。

先日、デビットカードを盗まれ、おまけに現金を引き出されてしまいました。しかし幸い、被害額(約10万円)は、以下の手順で銀行から補償していただきました。

今回は、私が受けたカード盗難の体験をもとに、被害に気づいたときの対処法や、補償を受けるのに必要な現地警察へ届け出についてまとめました。

同じような状況に遭遇する方が少しでも減るよう、また、万が一被害にあっても落ち着いて行動できるよう、参考になれば幸いです。

無人駅に潜む「親切そうな人」によるすり

ある週末、友人とハイキングをするにあたり、最寄りの駅で待ち合わせをすることに。早めに着いたので、帰りの切符を買っておこうと思いました。その日は日曜日で、SNCF(フランス国鉄)の駅は無人でした。

プラットフォームに発券機があり、先にいた女性の後ろに並んで待っていました。その女性は操作に戸惑っているようなので一緒に画面を見ていたら、見知らぬ50代くらいの男性が近づいてきて切符を買うのを手伝ってくれました。

その後、私が買うときも近くにおり、行き先の駅名の見つけ方などで戸惑っていたら、画面を確認するべく私の隣(カード挿入口側)に近づいて操作を助けてくれました。

チケットの購入は無事完了……ところが、カードを抜こうとした瞬間にはすでにカードがありませんでした。

そして男性はこう言いました。

このタイプの券売機は、カードをすぐに抜かないと、機械が「忘れ物」と認識し、内部に吸い込んで保管してしまうんですよ!駅は午後の3時にまた開きますから、じっとここで待っているといいよ!

いま思えばそんなわけないだろうと突っ込みたくなるような話ですが、彼の悪意で引き抜かれたかもしれないという発想には至りませんでした。

その日はあいにく日曜日で駅員は不在。午後の3時に開く話も一体どこからきたのでしょう。駅の扉に貼ってあった国鉄の代表番号に何度も電話してもつながらず、結局、その男性はいつの間にかいなくなっていました。

念のために銀行にカードの紛失を報告してカードの利用を停止しましたが、帰宅後に銀行口座を確認したところ、覚えのないカード利用(現金の引き出し)がすでに2件。さらに、限度額超過による利用不可の通知が2件届いていました。

すぐにカード会社に報告し、その後、警察にも被害内容を報告しました。

被害に気づいた直後にやるべきこと

万が一クレジットカードやデビットカードが盗難にあったり紛失した場合の参考に、やるべきことをまとめておきます。

  1. カードをすぐに止める(Opposition)
    まず最優先はカードの停止です。カード発行元となる銀行の緊急連絡先へ連絡し、即時に利用をブロックしましょう。
  2. 口座の取引明細を確認し、不審な動きを記録する
    オンラインバンキングで確認し、不明な利用があればスクリーンショットやメモを残します。これが後の警察・銀行への重要な証拠になります。
  3. 銀行に正式な盗難届を提出する
    1での連絡の後、銀行の指示に従い、書面またはメールで正式な報告をします。
    不正利用補償を受ける際は、警察への届出受理番号(récépissé)の提出が求められることが多いです。
  4. 警察へ被害状況を報告
    犯人がその場にいるなど緊急の場合、迷わず17もしくは112へ通報を。耳が聞こえないなど通話に支障がある場合に限り、114へSMSでテキストメッセージを送ることもできるようです。

警察への被害届はオンラインでもできる(Plainte en ligne)

フランスでは、財産に対する被害(vol=盗難、dégradation=破損、escroquerie=詐欺など)を受けた場合、交番(police)や憲兵隊(gendarmerie)に直接出向かなくとも、オンラインで被害届(Plainte en ligne) を出すことができます。これは外国人の一時滞在者や旅行者も利用できます。

具体的には、フランスの内務省が運営する公式ポータル(masecurite.interieur.gouv.fr
から行います。

対象となるケース

以下のような場合、オンラインでの届け出が可能です。

  • フランス国内で起きた財産に関する被害(atteinte aux biens)
    例:
    • スマートフォン、財布、車、銀行カードの盗難
    • 自宅や車への侵入・破損
    • インターネット以外の詐欺(例:現金だまし取りなど)

※オンライン詐欺やSNS経由の詐欺などは「THESEE」という別制度になるようです。

実際の手順

  1. サイトにアクセスし、アカウントを作成または FranceConnect でログイン
    フランスで生活し、社会保険番号などが付与されている場合、身元確認には FranceConnect(オンライン認証)を使うのが一般的ですが、外国人の場合はパスポートでの本人確認が可能です。
    • 私自身、社会保険番号が付与されましたがうまくリンクできなかったので、代わりにパスポートの写しでアカウントを作りました。
  2. フォームに必要事項を記入

    • 被害の種類(vol / carte bancaire volée)
    • 被害の場所
    • 盗難の経緯
    • カードの詳細や被害金額の概要 等

    フランス語での入力になりますが、丁寧なガイドがあるため、それほど難しくありません。

  3. 確認・送信
    内容を送信後、すぐに「受付完了(accusé de réception)」のメールが届きます
  4. 案件の受理書が届く
    営業時間の48時間以内に被害を受けた場所を管轄する警察により報告内容の審査が始まります。このタイミングで受理書のPDFがメールで届きます。
  5. 後日、警察や憲兵から連絡が来ることも
    必要に応じて、本人確認や補足説明のために呼び出される場合があります。

注意点とポイント

  • 証拠の保存:カード利用明細、メール通知、駅での写真など、あらゆる情報を削除せず残しておきましょう。
  • オンラインで提出後の修正は不可:間違いや撤回をしたい場合は、提出先の警察署に電話または直接出向いて行う必要があるようです。
  • 提出後の書類のダウンロード:後日「procès-verbal de plainte(被害届調書)」をダウンロードする方法もサイト上で案内されています。

現場でできそうなこと

  • 駅やSNCFなど、現場のカメラ映像の確認を依頼
    たとえ無人の場所でも、監視カメラが設置されている場合が多いです。
    可能であれば「いつ・どこで・おおよその時間帯」を伝え、映像の保管を依頼しましょう。
  • 近くにいた人や目撃者の情報をメモ
    防犯カメラの確認時に役立つ可能性があります。

被害を受けて思ったこと

実際に被害を受けて痛感したのは、自分では注意していたつもりでも、無意識のうちに油断をしていたことです。

困っていることがあると、それ以外のことは注意散漫になりがちです。

そんな時に人優しい声をかけられると、つい警戒心が緩みがちになってしまいます。

最後に

盗難や落とし物は誰にでも起こりうることだと思います。繰り返しになりますが、大切なのは

  • すぐにカードを止める
  • 銀行や警察に報告する
  • 記録を残す

この3点を落ち着いて行うことだと思います。

警察に出向いて被害内容を報告するのは時間も手間もかかりそうですが、オンラインでの手続きが整っていることを知っているだけでも心強くなると思います。外国人でもパスポートによる本人確認で手続きができますので、ぜひ頭の片隅に入れておくとよいと思います。そして、

くれぐれも、発券機がカードを吸い込むことはありません!

参考リンク

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