Last Updated on 2025年9月30日
こんにちは。
私は2025年9月からフランス南部のビジネススクール(グランゼコール)に留学予定です。
留学準備を本格的に始めたのは2024年9月で、それから約5か月でMBAプログラムの合格をいただきました。
とはいえアラフォー・英語B1レベル・フルタイム勤務中・独学・MBA以外プログラムも受験というとても厳しい条件での受験だったので、いかに短期間で合格をいただけるかを考えながら受験に臨みました。
そこでこの記事では、私が体験した短期合格のコツと見落としがちな注意点を共有したいと思います。
ただし、この記事の内容は万人向けの正解ではありません。一括りにMBA受験といっても受験の仕方は受験生によって様々でしょうし、学校が求める生徒像や受験者の属性によって必要な準備も異なると思います。この記事はひとつの参考事例として読んでもらえたら嬉しいです。
筆者プロフィール
- 昭和生まれ・純ジャパ・留学も海外勤務も未経験
- 新卒から官公庁勤務(行政職)
- 文化の継承をテーマとした起業に興味あり
- MBA受験準備期間:2024年9月〜2025年1月(約4か月間)
- 英語レベル:B1スタート、TOEICでスコアメイク
- GRE、推薦状、エッセイなどすべて並行して対応
Contents
その1 ゴールを明確にする
ゴールが決まらなければ戦略は立てられない
最初の一歩は「どのプログラムをを受けるか」を明確にすることでした。
今思えば大したことないことですが、自分は年齢やバックグラウンドの点で一般的なMBA受験生と異なると感じていたので、誰かの成功体験を参考にすることはできませんでした。むしろ若いうちからエリート街道をまっすぐ歩む方々の華々しい合格体験記などを読んでしまうと、席取合戦で彼らに適いっこないと落ち込むだけ。
だからこそ自分の軸を明確にし、自分が本当に行きたいと思える学校・プログラムを見つけることが、何より大事に感じました。
私の場合:条件は「フランスの学校」「アントレプレナー」
私の場合、当初はMBA取得を考えておらず、修士課程で何らかの専門性を磨きたいと思っていました。
学校はまず「フランスにあること」が大前提でした。これは完全に好みによるものです。
また、趣味や特技を仕事につなげたい思いがあったので、起業に強いアントレプレナー系のプログラムからリサーチをはじめました。
フランスのビジネススクールに関しては、日本の情報は限られています。常に世界ランキング上位にあるトップスクール数校に限っていえば学校情報や合格体験記など比較的アクセスしやすいものの、それ以外の学校のことはほぼ皆無か偏っているように感じました。
そこで各学校の公式サイトや現地の教育系メディア(Le Monde M Campus, Studyrama等)も大いに参考にしました。いつかまとめて整理しようと思います。
インターネットの情報には限界あり
情報収集で特に有意義だったのは、学校関係者や卒業生に実際に会って話を聞くことです。
キャンパスフランスのイベントやQS主催の留学フェアなどを活用して、直接話を聞く機会を作りました。
というのも、インターネットの情報は古かったり、絶対に間違いだろうと思えるものがゴロゴロ転がっているように感じたからです。
一方、留学フェアなどに来ている採用担当者からは、最新でリアルな情報を得ることができます。
また、この採用担当者と直接話すことは、単に学校選定のための情報収集にとどまらず、合格の可否にも影響するのではないかと思うくらい重要です。
というのも一度顔を合わせて相談することで、相手に自分の存在を知ってもらえます。そしてその後も連絡がしやすく、フォローが得られやすくなるからです。これについてはその2とその3にも続きます。
その2 やるべきことを厳選し、やらなくてよいことはやらない
求める生徒像は学校によって異なる
一概にMBAといえども、合格に必要な要素は学校ごとに異なります。MBA受験対策に着手するにあたり、以下のような点は直接学校に確認しておき、やるべきこととやらないことを決めてしまいましょう。
- 英語のスコアはどの試験が認められる?
- GMATの代わりにGREやEAでも良い?
- 学歴・職歴の重視度はどれくらい?
- 推薦状は誰からもらうべき?
学歴や職歴は変えようがありませんが、英語やGMATのスコアメイクは受験対策で高得点を取ることができます。ただし多くのエネルギーが必要なのは言うまでもありません。
準備したスコアと書類
私が合格した学校への出願に必要だったものは以下の通りです。
- 学部の成績証明書(Transcript, GPAを提示)
- 英語スコア(TOEICで850点以上)
- GREスコア(320点以上)
- 推薦状2通(元上司の他に習い事の師匠からいただいたものを提出)
- Resume(職務経歴書)
- エッセイ・インタビュー準備(書類選考通過後)
試験選びや準備にも工夫
取り組んだこととして「最低限を狙う」と「個性を最大限引き出す」ことに注力しました。逆にやらなかったことは「難しい問題に挑戦する」「MBAの受験テクニックの追求」といったところです。
TOEFLやIELTSの代わりにTOEICを選択
合格者の体験談を伺うと、ほとんどのMBA受験生がTOEFLかIELTSを受験しており、TOEICで受験したというと驚かれます。鼻で笑われる感じすらします。しかし欧州、少なくとも私が調べたフランスのMBAプログラムのほとんどはTOEICのスコアも英語力を証明するものとして認められていました。
私がTOEICを選んだのは、10年以上も前になりますが過去に受験経験があり、リーディングとリスニングに特化することで短期間でのスコアアップが狙えると思えたからです。
GMATの代わりにGREを選択
MBAの出願で大きなハードルとなるのが論理的思考を図る試験のスコアだと思います。
MBA受験生は一般的にはGMATが該当すると思いますが、フランスの学校の多くでは大学院受験時に必要となるGREという試験のスコアも認められています。GREはGMATよりも数学の問題が易しく、かつ出題範囲が狭いと感じたため、GREを選びました。
私はしばらくGREのスコアが振るわなくて落ち込んでいました。そんな時、学校の採用担当から「EA(Executive Assessment)」という試験を進められました。これはExecutiveクラスが対象のEMBAへの出願で使われることが多い試験で、試験時間や問題数としてはGMATの短縮版のような試験形式のようです。「点数取りやすいよ~」とアドバイスをいただきましたが、もっと早くに教えてほしかったと切に思います。
これからMBA受験を検討されている方は、EAのスコアが認められるか確認すると良いと思います。
推薦状でも個性をアピ―ル
推薦状は通常、職場の上司や大学の指導教授などに書いてもらうのが一般的だと思いますが、私は職場の元上司の他、10年以上ついているお稽古の師匠に書いていただきました。日本独特の精神修養の要素があるその修道は外国人にはおそらく珍しく、また履歴書や志望動機でもそのことに触れてアピールすれば、独特な個性を発揮できると考えたからです。
言い換えれば若さやエリートっぷりでは勝てそうにないので個性で勝負、という感じです。
カウンセラーに伴走を依頼
スコアメイクは独学でしたが、エッセイやインタビュー対策については専門家に相談し、数カ月ほど伴走をお願いしました。
というのも私はMBA対策は完全独学のつもりでしたが、エッセイやインタビューに関しては基準がわからず、また自分をどうアピールすればよいかわからなかったため、本でもAIでもない「生身の人」にアドバイスをいただきたい思いがありました。推薦状と同様、いかに個性をアピールできるかという点でいろいろアドバイスをいただきました。
以上、特別なTipsという程ではないかもしれませんが、やるべきことに集中し、やらなくてよいことは捨てる判断が、限られた時間での対策にはとても重要だったと思います。
その3 学校とつながる
こまめな連絡で入学の意思を伝える
その1でお伝えしたように、採用担当者とのやり取りは密にすることをお勧めします。私は出願後だけでなく、出願前から積極的に行っていました。
しかし留学フェアで各学校の採用事務担当の方と初めてお会いした時、私は英語がほとんど話せず、聞き取りもいまいちできませんでした。はじめて会った時、面と向かってこれから英語を一生懸命頑張ると決意表明してきました。これは絶対伝えておかなと出願さえお断りされると感じたからです。担当者の1人とは数カ月後に都内にあるフランス商工会議所で行われたイベントで再会し、歓談中に「英語うまくなったね」と褒められました(笑)。
受験中はTOEICやGREを受けた時もその都度情報共有をし、入学の意思があることをアピールし続けました。また、この担当者がとてもフレンドリーだったからだと思いますが、クリスマスなどのイベント時は地元の写真を送り合うなどしてささやかながら交流を育んでいきました。
こうした連絡をすることで、学校側に私の「本気度」を伝えることができたのではないかと思います。
OGの存在は心の支えに
MBA受験生にはありえないレベルの低い話ですが、私は本当に英語が話せません。
出願前にお会いしたOGはほとんど英語圏での留学経験や勤務経験のある方ばかりで、英語が話せないことはコンプレックスでした。
一次審査が通過後すぐにインタビューが控えていたものの、英語で話すこと自体が恐怖でインタビューを何度か延期してもらっていました。
そのとき、担当者が東アジア出身のOGを紹介してくださいました。そのOGは熱心で、自分も英語が話せなくて大変だったと昔のエピソードを紹介してくださったりしました。OGの存在は精神的に大きかったです。
以上の3点が合格に必要な考え方です。以下は受験に当たっての注意点です。
注意点1 「タイパの代償」は必ずやってくる
4カ月で合格できたとはいえ、それは最低限の条件を揃えただけにすぎません。つまり合格をいただいてから学校が始まるまでに能力の不足分を補わないと、そのぶん留学生活は大変になると思います。
正直、英語力はまだまだ不十分です。IELTSやTOEFLのような試験を通っていない分、特にアウトプットに不安が残っています。
現在はオンラインの英会話サービス(Bizmates)を使って鍛え直したり、リーディング・リスニング対策にMBA関連の英語の教材で予習を兼ねて勉強しています。
また、GMATを避けて合格したからには、溝を埋める努力を続ける必要があります。特に確率の分野などはMBAの授業でどんどん出てくると思います。
注意点2:「本当にMBAが必要か」を考える
これは精神論ですが、スコアメイクで疲れた時などに何度も「MBAは本当に自分に必要?」かを考えました。
結論を言うと、多分必要ないです。授業の内容はやろうと思えば独学でも学べるでしょう。MBAをとったところで今までの年収や役職以上を見込める再就職先なんで私にあるか未知数ですし、そもそも留学費用を回収できるか自体危ういです(悲観的)。
当初は何かしらもっと狭い分野の専門性を磨きたいと思っていましたが、MBAというのはどちらかというとビジネス全般を俯瞰し、経営学の各分野、マーケティングや戦略論についての理論と実践を通してゼネラリストを養成する実学であり、そもそも私が目指す方向性とは違う気がしていました。
しかしその一方で、もともと海外で働くことや起業に興味があったので、同じような境遇の人たちが集まるプログラムでの学びの期間やネットワークは自分の思いを形にするチャンスに思えました。
また、受験時代、OGたちはMBA留学生活について口をそろえてCrazy Journeyと嬉しそうにおっしゃっていたのが印象に残りました。これから多分、私の想像を絶するハードモードな日々が待っていることでしょう。当初この方々は一体何者なんだろうと思いましたが、次第に、受験時代よりもさらにクレイジーな留学生活を乗り越え、MBAホルダーとなった自分を想像すると、妙なわくわく感を抱くようになったのも確かです。
おわりに(余談)
わくわく感よりももっと大事なことが他にあるんじゃないの? とツッコミが入りそうですが、今のところ、信じたこの道をわたしは行くだけです。
というのもこの記事を書いている今、たまたまテレビでMy Wayを歌う石丸幹二さんの歌唱力に圧倒され、涙がぽろぽろ止まりません。
MBAは「信じたこの道」の単なる途中にすぎないかもしれません。
結論というわけではないですが、何もMBAや留学に限らず、新しい挑戦というのはきっと、今とは異なる場所へつながる新しい道を拓いてくれるはずです。
その道が正しいかどうかなんて、誰だってわかりません。自分を信じて進みましょう!