Last Updated on 2025年7月16日
社会人が海外の高等教育機関などに出願する際、レジュメの提出を求められます。
今回は、留学準備に必要な履歴書と作成のポイントについて解説します。
なお、就職などで必要な履歴書はまたポイントが異なる可能性がありますので、ご注意ください。
履歴書の役割
レジュメはCVともいわれ、学歴や職歴、これまでの業績を簡潔にまとめた応募書類です。
これは出願の際、審査員が書類審査において最初に目を通すものとなります。
審査員は出願期間に世界中から多くの出願者のプロフィールを目に通します。
初対面では「第一印象が大事」といわれるように、ぱっとみて興味を持ってもらったり、好印象を持ってもらうことで書類審査も通過しやすくなります。
また、書類審査通過後、インタビューの際などでも履歴書の内容から質問される場合があるほか、出願前でも学校にプログラムの問い合わせをする際や留学フェアでの面談の場で求められる場合もあります。
日本の履歴書との相違点
海外の履歴書を作ったことはなくても、おそらく多くの方が日本での学生時代のアルバイトや就職・転職活動で履歴書を作成したことがあるでしょう。
海外のレジュメと日本の履歴書は、いくつかの面で異なります。
ここで厚生労働省が示している履歴書様式例と比較してみましょう。

- 様式がない
私が大学時代の頃や就職活動をしていた2000年代中~後半の頃は、大学生協や文具屋で印刷された履歴書様式を購入し、手書きで記入したものです。おそらく今はデータ化されたテンプレートを使う場合が多いでしょう。
一方、海外で求められるレジュメには決まったテンプレートはありません。
MBAプログラムへの出願に当たり、私は海外のサイトを参考にしながらwordで1から作成しました。
- 性別や生年月日の記載は不要
2021年に改訂されたこの厚生労働省の履歴書記入例のテンプレートを見ると、性別の表記は任意となったようではありますが、生年月日欄は残っています。
海外のレジュメ場合は性別も生年月日も記載不要です。
コンサルタント2人に性別と生年月日を入れたCV案の添削を依頼しましたが、いずれも記載は不要と指摘されました。
- 職歴は直近から書いていく
日本の履歴書場合、高校や大学の学歴からスタートし、その後、新卒の職歴から直近の職歴へと時系列で記載することが多いと思います。
一方、海外の場合は逆で、直近の職歴から書いていきます。
- 職歴よりも業績で自己アピール
職歴欄は、日本では組織名と部署名、役職名を記入する程度で、詳しい業績を書くことはあまりないと思います。
しかし海外の場合、自己アピールが何より大事です。
どのような功績を残したかを「数字で具体的に」記載することで審査官に強い印象を与えることができます。
- なるべく1枚にまとめる
様式は自由ですが、多くの学校では「1枚程度にまとめる」ことが条件とされています。
推測の域を出ませんが、情報を整理し、1枚にまとめる要約力などが試されているのかもしれません。
レジュメの作り方(体験談)
私が最初にレジュメを作ったのは10月末、都内で開催された大規模なMBAフェアでいくつかの学校から来ていた採用担当者と面談をするために作成しました。
この留学フェア事務局から持参をすすめられており、前日になって慌てて作成しました。
まずはインターネットの情報を参考に、wordで見よう見まねで慣れない英語で作成しました。
付け焼刃で作りましたが、文字は小さくて誤字も多い。
そして何より職歴のアピールすべき部分が単なる業務の羅列でアピールになっていません。
今見返すと恥ずかしくなるくらいの不出来でした。
参加した留学フェアにはMBAコンサルタントがブースを出していて、その場で無料でレジュメを添削してもらうことができました。
また、そのイベントでお世話になった別のカウンセラーにも後日、何回かに分けて添削してもらいました。
MBA出願プログラムへ提出した完成形のものは、見た目も内容(単語の選び方)も、最初に作ったものと全くの別物のように変わりました。
特に英語に自信のない方や、英語での履歴書が初めての方は、絶対に添削をお願いすることをお勧めします。
言葉(審査員に響く「パワーワード」)の選び方など細かくチェックしてくれます。
参考までに、完成形の履歴書に掲載した項目は下記のとおりです。
氏名(name)
メールアドレス(Email)・携帯電話番号(mobile phone)
職歴(carrer Experience)
▶所属した組織ごとに部署・役職・在職年月とそこでの業績を箇条書きで記載
学歴(education)
▶大学、学位名、在学年、GPA
その他(other activities)
▶ボランティア活動や資格、特技を4つほど記載
項目の間にはカラーのラインを入れたり、見出しの部分をボールドにしたりと見やすくなるように工夫をしました。
私の失敗談
添削をお願いしてもなお、学校の採用窓口の方から以下のような指摘を受けました。
- とにかく見やすく
私はサラリーマン歴15年選手、3~4年ごとに業務内容が変わったり、出向中も複数の会社や部署に異動していたこともあり、職歴はそれなりに書くことがたくさんありました。
当初、部署ごとの業績を最低2つずつ書いていたら文字量がかさみ、2枚びっしりになってしまいました。
カウンセラーからは「長くて印象がぼやける」ことからできるだけ1枚にまとめるよう、作り直しを依頼されました。
文字を小さくしたり文字の間隔を詰めたりと小手先のテクニックを駆使して1枚にまとめようとしました。
しかし、アピールしたいことがたくさんあるからといって、1枚のスペースの余白を最小限にしたり、文字を小さくしてしまうと、デザイン的に読みにくくなります。
もしかしたら審査委員は老眼などで、直感的に小さい文字の羅列に嫌悪感を抱く可能性もありますので、フォントのサイズは10.5以下にはしないほうが無難です。
私はどうがんばっても1枚では収まらなかったので、結局、2枚にまとめたものを提出しました。
- ファイルはあまりいじらない
これはシステム上の問題かもしれませんが、出願時にWordで作成したファイルをPDFで提出しましたが、かなり見にくいから作り直すよう指摘されました。
なぜか学校側の画面では私が見ているフォントとは別の字体に変換されてしまったようで、私の方で問題が解決しませんでした。
結局、PDFに変換前のwordファイルを送り、採用担当者に編集してもらいました。
私は初めてレジュメを作成した時からこのファイルをベースに修正を繰り返してきました。
途中でフォントを何度か変えていたので、それが原因でファイルに負荷がかかっていたのかもしれません。
レアケースかもしれませんが、出願時に予想外の指摘を受けると焦ります。
学校側に迷惑をかけることのないよう、作成段階で変なアレンジはしないか、完成形を新しいファイルにペーストするなどすることをおすすめします。