Last Updated on 2025年12月29日
常夏のリゾート地のイメージが先行しがちなコートダジュール。12月になっても温暖な気候と夏に負けない強い日差しの中にも、確かにクリスマスの気配が満ちています。パリやフランス北部の華やかな装飾とは少し異なりますが、どこか軽やかで独特な雰囲気が感じられます。
今回はそんなニースのクリスマスの様子について、街を歩きながらレポートしてみたいと思います。On n’y va !
マセナ広場のクリスマスマーケット
ニースのクリスマスといえば、まず足が向かうのがマセナ広場(Place Masséna)周辺です。
11月の下旬ごろになると、広場に近接するアルベール一世公園(Jardin Albert 1er)には木製のシャレー風の屋台が並び、昼間は散策しやすい明るさ、夜になるとイルミネーションに照らされ、印象が大きく変わります。

屋台にはホットワイン(vin chaud)やホットチョコレート、クレープ、ソーセージ、焼き栗など、フランス各地のクリスマスマーケットでおなじみの品が揃います。甘い香りとスパイスの匂いが混ざり合い、冬らしい空気を作り出していました。

その中で少し意外だったのが、英語表記の “matcha latte”!

抹茶ラテが、ホットワインと違和感なく並んでいる様子は、国際色の強いニースらしい?光景です。
実際に足を運んでみると、マーケットに集まっているのは観光客が中心で、写真を撮りながら屋台を巡る人の姿が目立ちます。
一方で、広場を通り抜ける地元の人や、短時間だけ立ち寄って飲み物を買っていく様子も見られ、完全に非日常の空間というよりは、街の日常の動線の中に季節の催しが重なっている、そんな印象を受けました。
観覧車から眺める冬のニース
マセナ広場の一角には、毎年この時期になると大きな観覧車が設置されます。せっかくなので、実際に乗ってみました。

観覧車は1周で終わることはなく、4周ほど(以上かも)回転します。スピードはやや早めで、高さを増すにつれ、赤茶色の屋根が連なる旧市街の輪郭がはっきりと見えてきます。さらに視線を遠くに向けると、まっすぐに伸びる海岸線と、その奥に連なる山々まで一望できました。


高い場所から街を見下ろすことで、普段の生活ではあまり意識することのないニースの地形や街の広がりが、ひとつの風景として立ち上がってきます。リゾート地、観光地として語られることの多いニースですが、上空から眺めると、その美しさゆえに観光地とならざるを得なかった側面だけでなく、海と山に挟まれた土地に人々の生活が積み重なってきた街であることが、改めて実感されました。
観覧車の料金は一人10ユーロ。なお、支払いは現金のみでした。カード決済が一般的なフランスでも、こうしたアトラクションや小さな屋台ではキャッシュオンリーの場合が少なくないため、事前に現金を用意しておくと安心です。
あいにくの曇り空でも満ちるクリスマスの気配
この1週間ほど、ニースは雨が降ったり止んだりの天気が続いています。冬でも青空が広がることの多いと聞いていたので少し意外ではありましたが、不思議と気分が沈むことはありません。というのも街中も、どの店にもさりげないデコレーションが飾られ、店員さんとのあいさつにも「ボンヌ・ヴァカンス」とひとこと添えられるなど、街全体に陽気な余韻が漂っているからです。
クリスマスのお菓子と南仏の習慣
当初はシュトーレンを探していたのですが、スーパーで大量生産されている商品しか見かけませんでした。パン屋の店員さんに聞いてみたところ、この地域のクリスマスで主流なのは、パネトーネとのこと。

イタリアとの距離が近いこの地域では、食文化の影響も自然に行き来しており、こうした季節のお菓子にも表れているようです。
また、プロヴァンス地方の伝統として知られているのが、「13のデザート(les treize desserts)」。

この時期になると、スーパーの果物売り場にドライフルーツが並んでいるのを見かけます。これはキリストと12使徒を象徴する13種類のお菓子をクリスマスに用意する習慣で、ドライフルーツやナッツ、ヌガー、干しイチジクなど、素朴ながらそれぞれ意味を持つ甘味が揃います。すべてを厳密に揃える家庭は減っているようですが、「いくつかは必ず用意する」という感覚は今も残っているように感じました。
日本のお正月で三段重は用意しないまでも、せめて紅白のかまぼこと黒豆だけは食べる、そんな感じでしょうか。
ニースのクリスマス情報
クリスマスマーケットは11月下旬から1月第1週末まで。クリスマス前後は、街中の教会でクリスマスのオルガンコンサート等も開催されています。その他詳細なイベント情報については、 ニース市公式サイト をぜひご覧ください。
