学校の冬休みの間、多くのクラスメイトは実家に帰省したり、ヨーロッパ各地へ旅行に出かけたりしていました。
一方で、私たちいわゆる「居残り組」は、自然とお互いの家を行き来するようになり、それぞれの国の料理を振る舞い合う関係になっていきました。
年が明けてからは、私の番です。年明け早々にクラスメイトを自宅に招き、日本の家庭料理を中心とした昼食を用意しました。

食材はデザート以外すべて現地調達。日本食に、ほんの少しだけ南仏らしさを忍ばせた献立を考えました。
今日は備忘録も兼ねて、作ったものと、そのときに感じた調理のポイントを書き留めておこうと思います。
作り方は厳密ではありませんので、レシピというよりも、読み物として読んでいただければ幸いです。
唐揚げ
唐揚げで最も重要なのは、やはり粉選びだと思います。今回は、フランスのスーパーで手に入る小麦粉を使いました。
フランスの小麦粉は、日本のように用途別ではなく、灰分量(ミネラル分や不純物の含量)によって分類されています。
スーパーでよく見かけるのは、次の3タイプです。
- Type 45:パティスリー向け(粒子が細かめ)
- Type 55:万能型
- Type 65:パン向け(やや粗め)
今回は、万能型の Type 55 を選びました。
小麦粉で作る唐揚げは、
- 衣が軽く、揚げても重くならない
- 油はねが少ない
- 家庭用のフライパンでも扱いやすい
といった利点があるようです。片栗粉がなくても、Type 55で十分に日本の唐揚げらしさが出せたと思います。
日本酒の代わりには
下味に使ったのは、日本酒ではなく、フランスのクリスマスを思わせる?アルザス地方のリースリング。
クリスマス後、少し割引になっていたもの。試飲がてら、買ってみました。
- 酸がきれい
- 香りが強すぎない
- 肉の臭みを消してくれる
上記2点は試飲の感想で下味としてあまり関係ないかもしれませんが、結果として、日本酒の代用として十分機能したと思います。

ちらし寿司
Sushiとして注目度が高く、とにかく食卓が華やかになる一品です。ご飯さえ失敗しなければ、盛りつけるだけで完成します。
具材(すべて現地調達)
- スモークサーモン
- 枝豆(Pigard で調達)
- 錦糸卵(フランスは卵が高い)
- 刻みのり(韓国製)
当初は、生ハムを薔薇の花のように成形して飾るつもりでしたが、イスラム教のクラスメイトがいることを思い出し、直前で取りやめました。
稲荷寿司
油揚げは、フランスではなかなかの高級食材です。
消費期限が短いため日本からの持ち込みは難しく、アジアンスーパーで調達しました。お値段は5ユーロ超え。それでも
- 火を使わない
- 失敗しにくい
- ベジタリアンにも対応
と、おもてなし向きの料理です。
和風タブレ
南仏 × 和風の、意外な好相性です。
クスクスに
- オリーブ
- ニンニク
- トマト
といった南仏の食材を合わせ、
味付けには マイユの胡麻油ビネガーを選びました。

胡麻のコクが全体をまとめ、「和風なのに地中海」という不思議な一皿に。
ぜんざい
締めのデザートとして、個人的に食べたかったのがぜんざいです。

白玉粉で作った、丸くつやつやのお団子に、小豆と水分多めの汁を。素朴ながら、「Mochiを食べるの初めて」と好評でした。
失敗したもの
残念ながら作るのをあきらめたものも残しておきます
卵焼き
フランスでは卵焼き器のような道具もありません。
テフロン加工がはがれているであろう古いフライパンとIHヒーターでは熱のコントロールがうまくできず、卵がフライパンにくっついてしまい、断念しました。
手毬寿司
せっかく前日にアジアンスーパーまで駆けつけて日本米を調達したものの、鍋で炊いたご飯では成形が難しく、諦めました。
その代わりに作ったのがちらし寿司です。
赤インゲン豆のぜんざい
小豆の代わりにフランスのスーパーで買える赤インゲン豆(haricots rouges)でぜんざいをつくろうと思いましたが、赤インゲン豆は大きくて皮に厚みがあるので煮崩れせず、とろみのある汁にはなりませんでした。
外国人をもてなすときに感じたポイント
「外国人」と一括りにはできないと思いますが、今回感じたことをまとめておきます。
- 冷めてもおいしいものを選ぶ
集合時間から1時間以上遅れて全員が揃う、ということも珍しくありません。今回、最初のひとりがきたのは集合時間の1時間半後でした……。冷めてもおいしい料理を選んで正解でした。 - 食のタブーを意識する
宗教や食習慣によって、食べられないものがあります。特に自分が何でも食べられるタイプの場合は、注意が必要だと感じました。 - 部屋の紹介をする
初めて訪れる人は、部屋そのものにも強い興味を持っています。家の中を一通り案内すると、自然と場が和みます。
まとめ
在仏生活で日本食を作るときに大切なのは、贅沢な食材や、手の込んだ料理を用意することではなく、家で一緒に過ごす時間そのものを楽しむことだと感じています。
ちなみに、ぜんざいのあとに抹茶を点ててふるまったところ、茶筅で抹茶を点てる様子が珍しかったようで、順番に抹茶を点て合う時間がいちばん盛り上がりました。
少し肩の力を抜いた和食。それくらいが、いちばん美味しく、いちばん自然に伝わるのかもしれません。
